Astronaut

宇宙飛行士に憧れていました。科学、ポルトガル語、アニメ、ブラジルetc、取り扱っております。

理系の学生に読んで欲しい、内容が深くて面白い科学書10選。

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僕は有名な科学者が書いた本が好きでよく読む。比較的分厚い本が多く、一苦労ではあるが、読み終わったときの満足感と新しい知識、発見、理論に触れながら、この宇宙の仕組みを知っていくのはとても胸のすくような思いになる。
何年か前に大学にいた頃は化学を専攻していて、研究室を選ぶのには少し苦労した。卒研は僕にとって理論通りには上手く行かない最大の好敵手でありながらも楽しかったから後悔はしていない。
もし今の僕が大学3年生の頃に戻ったとして、果たして同じ研究室を選ぶだろうか。
それは分からない。
今の僕は、訳の分からない量子化学や生化学の授業を退屈だと思うだろうか。
たぶん思わない。
そんなわけで今日は、理系の学生に読んで欲しいおススメの科学書をいくつか紹介しようと思う。
色んなものに触れてこそ、本当に自分が探求したい分野を選ぶことができる。
どれも本当に素晴らしい内容のものばかり。その分野の専門家が何十年も研究してきたものに一瞬で触れることができるのはどんなに幸運だろうか、と思う。ちなみにこれは個人的な意見だが、本を読みだす前にある程度中身を精査すると良い。まず第一に、タイトルで釣るようになっているものは手に取らない。科学書だったら、“絶対分かる~”、とか“ゼロから学ぶ~”とか“図解で分かる~”となっているもの。たいてい薄っぺらな解説で、面白味もなく、分かり易くもない。その分野の勉強がしたい!とか、面白い!と思わせてくれる本が良い。後は大学の授業やそこで使う教科書で学べばいい。また、ものによるが、あまり古いやつも要注意だ。5年~10年もすればより最新の内容に更新されているだろうし、定説が覆っていることもあるだろう。中にはもちろん少し古くても大変面白くて本質的なものもある。
ちなみに僕の理解の浅さゆえに間違っていることも書いていると思います。

1

利己的な遺伝子

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リチャード・ドーキンスの超有名な名著。
本当にすごい本だが、少し難しいところも多い。
今までに考えられてきた自然淘汰の基本は“個体淘汰”である。すなわちより魅力的で強い個体が生き残るというもの。次に提唱されたのが“群淘汰”。これは社会性の昆虫で説明される。つまり蜂とか蟻である。働き蜂や働きアリは子供を産まない。つまり自身の遺伝子を残さない。遺伝子を残さない方向に進化したというのは少し考えればあまりにも驚異的なことだ。しかし当然女王蜂や女王蟻が子を作り、結果として彼らはより多くの子孫を、すなわち遺伝子を残すことができる。
そしてドーキンスが唱えたのが“遺伝子淘汰”である。ドーキンスは生物を遺伝子の乗り物(原語ではvehicle)とまで言っている。その内容は是非本書で確かめて欲しい。
ちなみにタイトルから連想されるような、遺伝子故に生物は利己的にふるまうというような内容では全くない。むしろ、利他的にふるまうことの方が良い結果を生み、それこそが遺伝子の利己性だと言っているのではないだろうか。



2

にわかには信じられない
遺伝子の不思議な物語

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サム・キーン著。
あんま期待せずに読んだらすごく良かった。
生物はどうやって形質を子供に伝えるのか。
遺伝子である。
メンデルのエンドウの実験から始まって、DNAからいかにたんぱく質が作られるか、ウィルスの遺伝子と人間の遺伝子の比較、とある原爆被害者の話、人とチンパンジーの混種の実験、DNAの構造、ヒトゲノムの未来、ダーウィン、マラー、イワノフ、ラマルク等遺伝子学の発展に貢献した人物のエピソードを交えながらたどる遺伝子の歴史書
分子生物学のセントラルドグマ(中心原理)という言葉に神秘的な印象を持つのは僕だけではないはず。
それはDNAをRNAに転写し、トランスファーRNAとメッセンジャーRNAの作用が何度も繰り返されて、アミノ酸からたんぱく質を作る一連の流れのこと。それで生物の体を形成している。



3

生物と無生物の間

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福岡伸一先生の名著。
“生命とは何か”という極めて難しい問いに対して、福岡さん自身の見解を結論としている。出されたのが10年近く前なので、現代の科学者の意見とは異なるところも多いかもしれないが、福岡さんが見出した一つの答えとそこに至るまでの過程がめっちゃ面白い。実験に対する姿勢、結果を残しても報われない科学者の話など、自身の経験を踏まえながら、科学者として大切なことを教えてくれる本で、今でも一読の価値あり。



4

すごい宇宙講義

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多田将 著。
この先生の宇宙の本が本当に好き。超分かり易い。この本は極めて一般人向けに書かれた本なので、手書きの絵がかいてあってめちゃくちゃ分かり易い。
こんな感じ。

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この絵が理解を助けてくれるので全くその分野を知らない人でも宇宙に興味を持つこの間違いなし!
反物質とは何か、から始まり、ブラックホール、相対性理論、ビッグバン理論からの宇宙の晴れあがり、そして宇宙の未来、ダークマター、ダークエネルギーまで。これだけ広範囲の内容を扱いながらもこれだけ分かり易く書いてある本は他にない!と断言できる。



5

量子論で宇宙が分かる

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マーカス・チャウン著。
大学の量子論の授業は死ぬほど難しい(少なくとも僕はそう思う)。訳の分からない数式ばかりでそれがいったい何を表しているのか?ということがなかなか伝わってこない。個人的には量子の世界は一般の僕たちの目に見えるところで起こる物理現象では考えられないことが起こるというところに面白味がある。この本はそういった現象を取り上げながら、宇宙を量子論で説明する。
量子力学と宇宙物理学は正反対でありながらも密接な関係にあるのが面白い、と思う。正反対というのは量子力学は宇宙で最も小さいものを扱う学問であるのに対し、宇宙物理学は最も大きいものを扱う学問であること。しかし宇宙の多くのことを量子論で説明できる。

量子論で宇宙がわかる (集英社新書)


6

自然界の秘められたデザイン

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イアン・スチュアート著。
雪の結晶が作り上げる見事なデザインを説明する。
雪の結晶が作られるプロセスは
相転移の一種であり、
分岐であり、
対称性の破れであり、
カオスであり、
フラクタルであり、
複雑系である。
これら一つ一つが自然界に現れている他の例を取り上げながら説明し、最後に雪の結晶がどのように形成されるのか、その答えに限りなく近づくことを目的としている。それが自然界における科学と数学の集大成であることに触れ、この宇宙を見つめる一つの視点を提供し養ってくれる素晴らしい本。イアン・スチュアートの本の中で一番好き。



7

数学で生命の謎を解く

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同じくイアン・スチュアート著。
数学と生物学に関心を持つすべての人に。
だいぶ前に読んだので内容の多くを忘れてしまったが(というかほかの本も基本、分厚いので本当に印象に残ったものと結論、全体の流れくらいしか覚えてないのだけど)この本はまず、生物学の歴史における、飛躍的な発展をもたらした5つの革命について述べる。
そして著者が考える、数学が生物学に及ぼす第6の革命に向かっていく。
5つの革命とは
顕微鏡の誕生
生物の分類(綱、目、属、種など)
進化(論)
メンデルの遺伝の発見
DNAの構造(ワトソンとクリックの二重らせん)
そして著者が唱える第6の革命とは何か。



8

科学の発見

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スティーヴン・ワインバーグ著。2016年5月10日第一版出版の最近の本。
本当に本当にもう一度よみたい名著。
ノーベル賞を受賞した電弱統一理論、ワインバーグ・サラム理論のワインバーグ教授の本。
“現代の知識で過去の物理学を裁く”
という禁断の領域に足を踏み入れている。
ワインバーグ教授は言う。
“ギリシャの科学はポエムにすぎない”
ただ勘違いしないで欲しいのは、著者は決して過去の人を馬鹿にしているわけではない。あくまで客観的な立場で考察し、あわよくば、現代における教訓になればと考えられたのではないだろうか。
物理学がどのように発展してきたか、天文学とそこから生まれた物理学がメインの物理の歴史書。
アリストテレス学派が執拗に付き纏い、どれだけ物理の発展を妨げてきたか。
非常に膨大且つ有用な天体観測のデータを取ったティコ・ブラーエが、それでもそのデータから導きだした結論は天動説だった。しかし、そのデータそのものは無駄にはならなかった。ガリレオ、ケプラーと引き継がれ、ニュートンが古典物理学の土台を築いた。
ニュートンは、ケプラーが導き出した天体の三法則と自身が発見した万有引力から運動方程式のようなニュートン力学(古典力学)の基礎を打ち立てたのだから。
物理学は天文学から生まれた。



9

生物はなぜ誕生したのか?

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ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク著
生物がいかにして誕生したのか、というところからどのような進化や絶滅を繰り返してきたか。2016年1月出版の最近の本。ゆえに最新の内容。先10年はこの手の本は読まなくてもいいと言われる本。本当にそのくらい内容が濃い。
著者は言う、生命の歴史に最も大きな影響を与えたものはたった三種類の気体である(酸素、二酸化炭素、硫化窒素)現存する生き物が今の顔ぶれになったことには生物自体ではなく、生態系の進化が最も大きな要因である、と。いくつか例を挙げると、火山の噴火やスノーボールアース、隕石の衝突とそれらの伴う大気中の酸素濃度、二酸化炭素濃度の変化である。生命の進化はこんなに様々な要因の中で今に至っているのか!と驚かずにはいられない。



10

アインシュタインVS量子力学

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森田邦久著
量子論の内容をとても広範囲に紹介しながらも、意外と分かり易い。言葉が非常に的確だからだろうか、なぜかすごく分かり易い。全く量子論を知らない人には向かないと思う。量子論の一つの難所は実験で観測された現象と計算から導かれた数式、それが何を意味するのかということを紹介する解釈の問題である。
アインシュタインは生涯、量子論を否定し続けた。そのために多くの思考実験を考えた(思考実験とは実際に実験をするわけではなく、条件を設定し、その状況であればこうなるはずだと、頭の中で行う実験)。それに対するボーアの回答など、網の目をくぐるような攻防を経て量子論は現代物理学としての地位を確立した!



とりあえずは以上。
ここにあげたものはどれも個人的には本当に気にいっているものばかり。また、素晴らしい科学書に出会ったら追加、修正していこうと思う。