ポルトガル語にも否定表現の際に使われる否定語および句がいくつかあります。
あまり使っていないとそういえばこんなのあったなと忘れてしまうので、今回一挙にまとめました。
ポルトガル語の否定語まとめ
não:『~ない』
もっとも一般的な否定語です。
英語の『not』に相当します。これはついては特に説明は不要ですね。
nem:『~さえない』
『nem』も確実におさえておきたい否定語です。
『nem』には『副詞』と『接続詞』としての使い方があります。
ただ私としては『nem』の意味を考えるときに以下の3つで理解しておくと分かりやすいと考えています。
① ~も~もなく(接続詞)
② nãoよりもつよい否定(副詞)
③ ~さえない、~もない(副詞)
まず①は接続詞です。接続詞『e』の反対の役割を果たすと考えます。つまり『e não』と置き換えられます。
②③は本質的には同じです。しかし③の『~さえない』『~もない』と訳しにくい時もあるので②としています。
以下例文
① Eu não comi nem bebi.
私は飲むことも食べることもしなかった
② Nem me fale nisso.
それについては私に話さないでください。
③ Ele não apareceu nem para pagar.
彼は支払いの為に現れることさえしませんでした。
①は『nem』を『e não』としても意味が通りますよね。
②は『nem』を『não』にしても同じ意味です。
③は『~さえ~ない』と訳しています。
これが『nem』の基本です。
sem:『~無しで』
『sem』は『~無しで』と訳します。
英語では『without』に相当し、とても便利な単語です。
『sem』の後にくるものは①名詞でも②動詞でもいいです。動詞の場合は不定詞の働きになります。つまり原形です。
① A prefeitura ajudou famílias sem casas.
市役所は家のない家族を助けた。
② Eu trabalhava sem receber.
私は給料をもらわずに働いていた。
ninguém:『誰も~ない』
『ninguém』は人に対して用い、『誰も~ない』という意味の否定語です。
『だれか』という意味の『alguém』に『não』を付けることで、つまり『não alguém』から『ninguém』となったと思われます。
以下例文
Não tem ninguém aqui?
ここにはだれもいませんか?
Ninguém vem hoje.
今日は誰もこない。
ポイントとしては、否定語が後ろに置かれる場合は、先頭に『não』が必要な点です。
これは他の否定語についても同じことが言えます。
つまり後者の文を書き換えると『Não vem ninguém hoje.』となります。
nenhum/nenhuma:『一つの~もない』
『nenhum』は『一つの~もない』という意味です。
『não』+『algum』から『nenhum』となっています。
Não tem nenhum amigo.
私は一人も友達がいない。
A culpa dele é nenhuma
彼の過失は全くない
先の文のように『人』に対してもつかえますし、後の文のように目的語にもなります。
『nenhum』『nenhuma』とある通り、男性形と女性形をとります。例文では『amigo』が男性名詞なので『nenhum』となり、『culpa』は女性名詞なので『nenhuma』となっています。
nada:『何も~ない』
『nada』は『何も~ない』という否定語です。
英語の『nothing』にあたります。
Você nada sabe. (= você não sabe nada.)
あなたは何も知らない。
Não tem nada de novo.
何も新しいことはない。
下記のようなものも日常会話でたまに使いますよ。
・Quase nada(ほとんどない)
・Nada mau(悪くない)
tampouco:『~もまた~ない』
『tampouco』は『~もまた~ない』という意味の否定語です。
書き換えると『também não』となります。
Eu não gosto de laranja, tampouco de melancia.
私はオレンジが好きではなく、スイカも好きではありません。
Eu detesto música eletrônica, tampouco vou aos festivais.
私は電子音が嫌いなので、フェスにもいきません。
単純に『nem』と同じと考えて問題ありません。従って一文目は
Eu não gosto de laranja, tampouco de melancia.
Eu não gosto de laranja, também não de melancia.
Eu não gosto de laranja, nem de melancia.
と書き換えてもほぼ問題ないでしょう。
nunca:『決して~ない』
『nunca』は『決して~ない』という意味の否定語です。
英語の『never』に相当します。
時制によりどういう意味になるか見てみると以下のようになります。
現在形:『決して~しない』『絶対に~しない』
過去形:『一度も~したことがない』
未来形:『決して~しない』『二度と~しない』
以下例文。
Nossa amizade nunca muda.(現在)
私たちの友情は決して変わりません。
Eu nunca foi ao brasil.(過去)
私は一度もブラジルに行ったことがありません。
Você nunca comeu o churrasco?(過去)
あなたはシュラスコを食べたことがないんですか?
Eu nunca farei isso de novo.(未来)
私は二度とそんなことしません。
jamais:『決して~ない』
『jamais』も『決して~ない』という意味です。
『nunca』と同じですね。
Jamais farei tal bobagem de novo.
私は二度とそんな馬鹿なことはしません。
Jamais irei ao seu casamento.
私は決してあなたの結婚式にはいきません。
いずれも『nunca』と書き換えても問題ありません。
『nunca』『jamais』って何が違うの?
同じ意味なら『nunca』と『jamais』は何が違うのか気になりますよね。
圧倒的に見かけることが多いのは『nunca』でしょう。よって『nunca』のほうが一般的だと言えます。
またポルトガル語のサイトなどでは『jamais』はより文学的、詩的(literário / poético)な表現だとありました。
よって基本的には『nunca』を使えばいいです。
ちょっとカッコつけたいときは『jamais』を使いましょう。
否定語になる副詞句
他にも否定語になる副詞句が存在します。
以下その例
・de forma alguma
・de maneira alguma
・de modo nenhum
・de jeito nenhum
・de forma nenhuma
・de maneira nenhuma
Etc...
これらはいずれも『決して~ない』という意味になります。
形が少しずつ異なるだけでどれも同じと考えたらいいです。
例文
De maneira alguma eu aceitarei esta proposta.
この提案は決して受け入れられません。
Isso não é verdade, de jeito nenhum.
それは決して真実ではありません。
Eu não culpo de forma nenhuma a Presidente do brasil
わたしは決してブラジル大統領を非難しません。
まとめ
ポルトガル語の否定語について紹介しました。
ほかにもあるかもしれませんが、このくらいを覚えておけば、十分でしょう。